神奈川県精神神経科診療所協会

お知らせ

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カジノ誘致反対意見表明

「私たちは横浜へのカジノ誘致に反対します」

  

一般社団法人 神奈川県精神神経科診療所協会

会長 斎藤 庸男 

 

 私たちは、神奈川県内の主に精神科を標榜する診療所の医師を構成員とする団体です。

 約 200名の医師が所属しており、地域の精神保健福祉の向上をめざして活動しています。 

 2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(通称IR推進法)」が公布・施行されました。この法律は、カジノを中心に宿泊施設、テーマパーク、商業施設などを一体的に整備する統合型リゾート(IR:Integrated Resort)の設立を推進するものですが、これまで日本で禁じられていたカジノ(各種の遊戯施設を備えた賭博を主とした娯楽場、賭博場)の解禁につながることから「カジノ法」「カジノ解禁法」「カジノ推進法」とも呼ばれています。 

 この法律を受け、2018年7月にIRの整備・運営ルールを定めた「特定複合観光施設区域整備法(通称IR整備法、IR実施法)」が公布されました。当面の間はIR施設を全国 3ヶ所に限り、日本人の入場料をやや高めに設定して入場回数も制限するとしていますが、2020年代なかばには、日本初の民営ギャンブルが公認されることになります。 

 それに対応するように「ギャンブル等依存症対策基本法」も同時に公布されました。その中で、ギャンブル依存症を「本人や家族の生活に支障を生じさせ、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせている」と規定し、政府や都道府県に対して対策計画の策定、実施をするよう明記しています。 

 ギャンブル依存症(病的賭博)は、パチンコ、パチスロをはじめとしたさまざまなギャンブルへの衝動が抑制できなくなり、社会的、経済的、心理的問題や対人関係の問題が生じているにもかかわらず、ギャンブルをやめることができなくなる病気です。世界保健機関(WHO)はギャンブル依存症を精神障害と定義しており、日本では2017年に厚生労働省の研究班が、成人の3.6%(男性6.7%、女性0.6%)、推計320万人にギャンブル依存症の疑いがあるという推計を発表しています。 

 現在、IR施設誘致に活発な自治体がいくつかありますが、その中の一つに横浜市があります。横浜市長は現在のところ誘致については白紙とのことですが、再開発が予定されている山下ふ頭にIR施設を候補地にするという話が消えたわけではありません。 

 私たち神奈川県精神神経科診療所協会として、下記の点(順不同)から横浜にIR施設(カジノ)を誘致することに反対します(それぞれに調査、研究の裏付けがありますが、今回は省略します)。 

 

*ギャンブルに関する問題

  • 経済的破綻を来たしやすい
  • 現在でも多いギャンブル依存症が、さらに増える可能性がある
  • 自殺との関連が大きい
  • ギャンブルを背景とした犯罪が増える
  • 家族への影響が大きい
  • ギャンブル依存症に精神科併存症(アルコール依存 症・薬物依存症など他の依存症、うつ病などの気分障害など)が多い
  • 依存症治療が可能な医療機関・相談機関が少ない
  • 依存症治療には難渋することが多い 

*カジノに関する問題

  • 入場料の設定は依存防止の役には立たず、高いほうが元を取り戻そうと必死になる
  • カジノがある地域ではギャンブル依存症の患者が増える
  • カジノに近いほどギャンブル依存症の患者が増える
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